THE未来少年~オギノアキラニタイムマシンヲ~
THE未来少年

おやすみ

オギノ君へ

『この物語を未来にいる、あなたに贈ります。』


メッセージの書かれた紙飛行機が空へと飛ばされた。

青い空に吸い込まれていくように

紙飛行機はどこまでも

どこまでも飛んでいった。

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時をオギノが死ぬ数時間前に戻そう。

オギノは、リオに会うためにお酒をたくさん飲んでいた。

リオとはオギノの彼女だった。

アパレルの仕事をしている彼女は、背が高くいつもお洒落な格好をしていた。

長い髪は金色に輝き、瞳は大きく、
アイメイクが小悪魔的な印象を与えていた。

喋りだすとトロンとした甘い口調にオギノは夢中になっていた。

オギノはバンドに全てを捧げていたため、お金も時間もなかった。

付き合ってからというもの会うたびに喧嘩になった。

離れたり、くっついたりの繰り返しだった。

オギノはリオのことを心の底から好きだったが、

ステージから降りたオギノには何もなくて、情けなくて、とてもシラフではいられなかったのだ。

しかも、実家を出てドラムのツネヨシの家に居候してから、お風呂にあまり入らなくなった。

そんな彼は、いつもホームレスと同じ香りを漂わせていた。

オギノは自分と彼女は、美女と野獣ほどの違いがある気がして、うまく気持ちを伝えられないでいた。

お酒の力を借りなければリオに思いを伝えることもできなかった。
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