THE未来少年~オギノアキラニタイムマシンヲ~

未来人

「ホント、バカだな。」

暗闇に紛れ、黒い服を着た男がオギノのそばに現れた。

「起きろバカ死ぬぞ。」

男はオギノの腕をグイと掴み、オギノを起こした。

目を開けたオギノは自分にそっくりな顔立ちの

男に目をしばしばさせた。

「へ?オレ?」

そこにいたのは老け込んではいたが、大きく輝く瞳も、頬に残るニキビの跡も、いつも笑いながら話している口もオギノそのものだった。

違っていたのは声がしわがれていることぐらいだった。

「ホント間抜け面だなぁ。いいか酔っ払い。しっかり記憶しておけよ。俺は未来のお前だ。」

ウィスキーのボトルを片手にほろ酔いの未来のオギノは言った。

「うおぉすげ~マジすげ~。オレだぁ、良い男になってんじゃね~か、このう。」

現在のオギノはフラフラと立ち上がると、未来のオギノを小突いた。

「おっおぉ、まあな。話したい事は山ほどあるんだけど、あまり時間がないから、これから俺が言う通りに行動してくれ。とりあえず服脱げ、俺の服と取り替えるぞ。」

未来のオギノは黒いジャケットと、その下に着ていたイギリスのパンクバンド、ラモーンズのロゴが入った白いTシャツを脱ぎ、19歳のオギノに渡した。

「身長は伸びてねぇのかぁ~。170センチは欲しかったんだけどなぁ。」

現在のオギノは9月の寒空の下服を脱ぐと

未来のオギノと服を取り替えた。

パンツ姿で着替える二人は、傍から見ると滑稽だったが、幸い早朝で人も街も眠りについていた。
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