政略結婚はせつない恋の予感⁉︎

その視線の主は、わかばさんだった。

息を詰めて探るような目でわたしを見るその表情は、困惑と当惑しかない。
いつの間に、こんなことになってしまったんだろう?と思っているに違いない。

わたしが将吾さんの前に現れてから、まだ二ヶ月と経っていないというのに、もう婚約者なのだから……

彼女はずいぶん幼い頃から将吾さんを慕っているのだろう。

無理もない……大会社の御曹司で高身長にイケメンという、超ハイスペックな人が同じ家にいるのである。おまけに、わたしへの対応とは真逆の「(とろ)ける笑顔」付きだ。
彼はわかばさんには信じられないくらい甘いに違いない。

……これでは好きにならずにいられない。

彼女はかわいらしい子だから、きっと男の子からの誘いもあるだろうけど、将吾さん以外の人は目に入らないと思う。

紹介されたとき、管理栄養士になるための大学に通っていると言っていた。
もしかしたら彼の不規則な生活の中で、健康管理に役立つという思いからの選択だったのかもしれない。

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