政略結婚はせつない恋の予感⁉︎

「あの……なぜ、ブシュロンなんですか?」

確かにブシュロンはグランサンクだけど、普通、カルティエとかティファニーなどの「定番」から見ていくんじゃない?

「どこか、ほしいブランドでもあるんですか?」

相変わらず無表情で島村さんが尋ねた。

「いえ……別に、特にはありませんけど」

すると、島村さんはモダンな石造りの外観のショップの中へすたすたと入って行った。

……あ、そうか。きっと会社関係でご贔屓にしないといけない理由があるんだわ。

会社のレセプションパーティなどのためにホテルを押さえるときに気をつけなければいけない一つに「ビール会社の指定」がある。

その会社がどの系列かによって、出席者に「絶対に出さねばならないビール会社」「絶対に出してはいけないビール会社」が決まる。
それは、社員の結婚披露宴にまで影響を及ぼす。

上司に結婚の報告に行くと、
「おお、結婚おめでとう……ところで、披露宴は絶対◯◯ビールだからな」
と釘を刺されるのは「あるある」話だ。

結婚が決まった女子大時代の友達が、自分の会社は東京発祥の財閥系でキ◯ンビール、相手の会社は大阪発祥の財閥系でア◯ヒビールを所望され、揉めに揉めた。その結果、新郎側・新婦側でそれぞれのビール会社を用意することでようやく落ち着いた。


……たぶん、そういうことなんだろう。

< 36 / 507 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop