御曹司と婚前同居、はじめます
「返事がないってことは、納得していないってことだよね」
「創一郎。おまえ何しに来たんだ? 仕事の話じゃないならさっさと出ていけ」
「おー、こわっ」
わざとらしく肩をすくめる。
何だろう。胸がざわつく。
人当たりは良さそうなんだけど、私はこの人ちょっと苦手かも。
「じゃあ仕事の話をするよ。例の改修工事についてなんだけど、どうやら予算が大幅に削減されることになりそうなんだ」
仕事の顔になった専務は私には分からない話を始めた。
彼等の会話に耳を傾けながら、先ほど瑛真が見ていた資料に目を通した。
図面も何枚かあるけれど、思っていた以上にわけが分からない。
基礎知識が少しはあるからそれとなく理解できると思っていたけれど、この調子だとどうにもならないかもしれない。
大きな溜め息が聞こえて顔を上げると、二人は小難しい表情をしていた。
トラブルでもあったのかな。
「それじゃあまたね、美和さん」
「……はい」
話し合いを終えた専務が出ていくのを見届けてから、
「あいつには気をつけろ」
眉間に皺を寄せた瑛真が言った。
「気をつけるって?」
「美和は知らなくていいことだ」
そんな言い方しなくてもいいじゃない。教えてくれないと何に気をつければいいのか分からないのに。
それだけ言って仕事の続きを再開してしまったので、専務の話についてはそこで打ち切られてしまった。
「創一郎。おまえ何しに来たんだ? 仕事の話じゃないならさっさと出ていけ」
「おー、こわっ」
わざとらしく肩をすくめる。
何だろう。胸がざわつく。
人当たりは良さそうなんだけど、私はこの人ちょっと苦手かも。
「じゃあ仕事の話をするよ。例の改修工事についてなんだけど、どうやら予算が大幅に削減されることになりそうなんだ」
仕事の顔になった専務は私には分からない話を始めた。
彼等の会話に耳を傾けながら、先ほど瑛真が見ていた資料に目を通した。
図面も何枚かあるけれど、思っていた以上にわけが分からない。
基礎知識が少しはあるからそれとなく理解できると思っていたけれど、この調子だとどうにもならないかもしれない。
大きな溜め息が聞こえて顔を上げると、二人は小難しい表情をしていた。
トラブルでもあったのかな。
「それじゃあまたね、美和さん」
「……はい」
話し合いを終えた専務が出ていくのを見届けてから、
「あいつには気をつけろ」
眉間に皺を寄せた瑛真が言った。
「気をつけるって?」
「美和は知らなくていいことだ」
そんな言い方しなくてもいいじゃない。教えてくれないと何に気をつければいいのか分からないのに。
それだけ言って仕事の続きを再開してしまったので、専務の話についてはそこで打ち切られてしまった。