視線の先には君がいた
6終わらない恋
恋かと思ったら、即失恋してしまった。

そう思った恋は私の中で終わらなかった。


あの日から、間島とはちょっとした会話をするようになった。

しかし、席替えがあり、私と間島の接点はなくなった。

風のうわさで間島と彼女が別れたことを知った。


間島を見つめることは減ったけれど、視線が気になって振り向くと、いつも彼がいた。



それだけでよかった。

そんな風には、思えない。

欲張りになったなと、杏は思う。


夏が終わり、肌寒い季節になった。

あと数か月で進級、クラス替えだ。


冬休みに差し掛かるころ、杏は靴箱に不思議な物体を見つけた。


(消しゴム?)


真新しい消しゴムがシューズの横に置かれていた。

それは以前、杏が間島の足元に落とした同じ種類のものだった。

セロファンははがされていて、消しゴムとケースの間になにやら赤い印が見える。

ケースを取りはずすと、赤字で書いてあった。


「好きだ」


それを見て杏は走り出した。


(間島。間島、好きだよ、間島くん。)


教室に行くと、杏の席の近くに間島がいた。

口の端を上げて微笑んでいる。


「好きだ。」


そう言われた気がした。

涙で前が見えなくなった。
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