意地悪上司は私に夢中!?
「愛人は他にも絶対いると思ったんだ。
ちょっと犯罪まがいのことしたけど、部長のラインアプリの中身を調べたら、『いつか結婚しよう』『妻とは別れる』とか、そんなメッセージが何人もの女と交わされてて、これ使えるなって。
8人だぜ?声を掛けたら4人飛んできてくれた。
で、階段の脇でみんなで張ってたんだ」

永瀬さんはニッといたずらに笑った。

「犯罪まがいって…大丈夫なんですか?
それに、女の子たちが永瀬さんに声をかけられたことバラしたら…」

「姉貴に電話してもらったんだよ。女から電話きたほうが説得力あるだろ?
犯罪まがいって言ってもちょっとパソコンからアプリにアクセスしただけだ。まあ、そこは専門職の腕の見せどころだな。当然足がつかないようにしてある。
杉田もその辺りを追及する余裕はないだろ。あの女たちの様子だと、奥さんに不倫をバラされて慰謝料取られるか、結婚詐欺で訴えられるだろうからな」

やっと気持ちが落ち着いてきて、はあっと長いため息が零れた。

永瀬さんの手が、私の髪に触れた。

「…もう大丈夫だ。
二度と自分を犠牲にしようなんて考えるな」

我慢していたはずのいろんな思いが一気に込み上げてきて、永瀬さんの胸にコツンと頭をくっつけた。

子どもみたいにしゃくりあげながら泣く私をぎゅっと抱きしめ、永瀬さんは何度も頭を撫でてくれた。



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