意地悪上司は私に夢中!?
忙しい時期のピークが終わって仕事が落ち着いたのは2週間後。

メンバーも雑談するくらいの余裕が出てきて、暗い雰囲気だった永瀬チームにまた明るさが戻ってきた。


「悪い。俺用事あるから先に帰る」

その日永瀬さんが席を立ったのは、6時すぎだった。

こんなに早く帰る永瀬さんは珍しくて、同じ島のみんなが戸惑ったように目を丸くしながら、彼を見送った。

…体調でも悪いのかな。

なんて一瞬心配したけど、今日もいつも通り憎たらしいことを言って私をからかっていた。

ムカつくくらいに絶好調だ。

私の考えすぎだろう。


…だけど次の日も、同じ時間帯に永瀬さんは帰って行った。

「なんかあったんですかねえ」

「珍しいですよね、2日連続なんて」

「彼女でもできてたりして」


…彼女…?

胸がチクンと疼く。

メンバーたちは冗談で言っているのかもしれないけど、ありえなくはない。

だって仮にもイケメンだもん。

永瀬さんはモテるもん。

いつまでも気持ちに応えられずにいる私に愛想をつかして、他の女の人とデートしているのかもしれない。


永瀬さんは夜早く帰る分、朝少し早く出勤して仕事をしているようだった。

私が会社に到着する時間帯にはもう、ある程度のルーティンワークは終わっている。

そこまでして早く帰らなきゃいけない理由って何…?


< 82 / 123 >

この作品をシェア

pagetop