意地悪上司は私に夢中!?
永瀬さんはアイスコーヒーをいれて、テーブルにふたつ置いた。
そしてソファの私の横にドカッと座った。
スプリングで、私まで揺れる。
時計の秒針の音が私を焦らせる。
何か言わなきゃ、と思えば思うほど言葉は浮かんでこなくなる。
「…なあ」
私が話すより先に、永瀬さんが口を開いた。
「彼女って何の話だよ」
「え…」
何の話って、一個しかないでしょうよ。
「何日か早く帰ってた日…女の人と会ってたでしょ?
腕絡めて、お酒まだある?って…」
途端に永瀬さんは訝し気に顔を歪める。
「どうして知ってんだよ」
…あ、ヤバい。
ストーカーしてたことがバレちゃう。
永瀬さんは、はあーっと長いため息を吐いた。
「…それ、姉貴なんだけど」
「…は?」
今なんて言った?
姉貴?お姉さん?
「旦那とケンカして家出してきた姉貴。
毎晩飲みに付き合わされてさあ。
で、3日くらい俺んちに泊まってた。
ま、旦那が迎えにきて仲直りしたけどな」
確かに…永瀬さんに負けず劣らずの美形で、背も高くて。
そういえば、杉田部長の件の時、お姉さんが電話するのに協力してくれたって。
「…だけど、『蒲田さん』って…」
「ああ、今の苗字が『蒲田』だから、早く仲直りしろって意味で、そう呼んでただけ。…何。勘違いしてたのかよ」
意地悪に笑った永瀬さんの目が、次第に驚きに変わっていく。
そしてその姿はどんどんぼやけて見えなくなっていった。
涙が零れて止まらない。
そしてソファの私の横にドカッと座った。
スプリングで、私まで揺れる。
時計の秒針の音が私を焦らせる。
何か言わなきゃ、と思えば思うほど言葉は浮かんでこなくなる。
「…なあ」
私が話すより先に、永瀬さんが口を開いた。
「彼女って何の話だよ」
「え…」
何の話って、一個しかないでしょうよ。
「何日か早く帰ってた日…女の人と会ってたでしょ?
腕絡めて、お酒まだある?って…」
途端に永瀬さんは訝し気に顔を歪める。
「どうして知ってんだよ」
…あ、ヤバい。
ストーカーしてたことがバレちゃう。
永瀬さんは、はあーっと長いため息を吐いた。
「…それ、姉貴なんだけど」
「…は?」
今なんて言った?
姉貴?お姉さん?
「旦那とケンカして家出してきた姉貴。
毎晩飲みに付き合わされてさあ。
で、3日くらい俺んちに泊まってた。
ま、旦那が迎えにきて仲直りしたけどな」
確かに…永瀬さんに負けず劣らずの美形で、背も高くて。
そういえば、杉田部長の件の時、お姉さんが電話するのに協力してくれたって。
「…だけど、『蒲田さん』って…」
「ああ、今の苗字が『蒲田』だから、早く仲直りしろって意味で、そう呼んでただけ。…何。勘違いしてたのかよ」
意地悪に笑った永瀬さんの目が、次第に驚きに変わっていく。
そしてその姿はどんどんぼやけて見えなくなっていった。
涙が零れて止まらない。