独り占めしても、いいですか?
「なーに暗い顔してんだよ」



そんな声がして、同時に私の右手がギュッと握られた。



「凛っ…!」



フッと横を見ると、無邪気に笑う凛と目があった。



赤茶の髪が太陽に照らされてキラキラと光る。



「早く会いたいな…って。

待ってたよっ」



ニコッと笑うと、凛の動きが一瞬止まり、すかさず手で私の目を隠してきた。



一瞬のうちに視界が遮られる。



「えっ…何?」



急に目隠しをされた私は、凛の手にそっと触れて頭にハテナマークを浮かべた。



「…ったく、会って早々かわいいこと言うなよ…」



一ノ瀬 凛(いちのせ りん)。



私の幼なじみ。



しっかり者で、スポーツ万能成績優秀な完ペキ男子。



最近の悩みは、『凛』って名前が女の子とよく間違えられることみたい。


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