独り占めしても、いいですか?
はじまりの物語

広がる世界

*・*・*・*・*



ー日和4歳ー



「颯斗にー…行っちゃうの?」



颯斗にーの後ろに移る飛行機が悪魔の乗り物に見える。



袖を掴んで引き止めたいのを必死に我慢した。



「うん…ごめんな、ひよ。

すぐ戻って来るから」



「……うん、待ってる」



颯斗にーはすぐって言うけど、すぐじゃないことはよく知っていた。



でも、わがまま言うのはレディのすることじゃないって、アイル先生が言ってたから…



颯斗にーが私の頭をそっと撫でる。



ほらね、素直な子の方が、颯斗にーも優しくしてくれる。



「ひよ、これ…」



そう言って颯斗にーがポケットから取り出したのは小さな紙。



「なーに?これ…」



紙を受け取って中を開くと、よくわからない数字がたくさん並んでいた。



『001-010-44-80-2030-8810』



……引き算したらいいのかな?



でも0から始まる数字なんておかしいし…



計算したら一応、ー10973になるけど…



「それ、俺の電話番号だ」



「……颯斗にー、私を騙してるの?

電話番号は普通、11個の数字だよ?」



「うーん、残念!

国際電話はもうちょっとややこしいんだよ。

まだまだ勉強が足りないな」



そう言いながら私のほっぺたを軽く引っ張る。



……悔しい。



ぷくっと頬を膨らませて、笑顔で仁王立ちをする颯斗にーを見た。



次会うまでにいっぱい勉強して、颯斗にーに負けないくらい頭良くなってやる。


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