何度でも恋に落ちる
「何でよ!信じられないっ!!真弓のバカ!!」


「いいじゃん♪私、隼人といたいし、千夏だって最近持田さんの家によくお泊まりしてるから大丈夫でしょ」


「そうだけど…。家とホテルじゃ雰囲気が違うじゃない!」


「好きな人なんだから別に何されてもいいじゃん。てなワケで、水着に着替えてロビーで待ち合わせね」



千夏が真弓に怒ったワケは


2部屋予約していたので千夏は当然自分は真弓と同じ部屋だと思っていたのに


真弓は隼人、千夏は翼に部屋を分けていたのだった。




今更翼と2人になったからといって恥ずかしくはないが、“旅行”・“ホテル”といういつもと違うシチュエーションに千夏は戸惑っていた。




「何かアイツらに振り回されてるね、俺ら」

「本当だよ。結局こうなるのなら2人で行けばよかったのにね」



千夏は部屋の隅に荷物を置くと、ベッドの上に腰を掛けた。




「俺はちーと旅行出来て嬉しいよ」



翼はニコッと笑うと部屋の大きな窓の前に立った。


窓から差し込む光に翼が霞み、消えてしまいそうに見えた千夏は咄嗟に翼の背中に抱きついた。




「えっ!?なっ…何!?どうしたの、ちー!?」



いきなり抱きつかれた翼は思いっきり動揺し始めた。




「…翼が消えちゃうように見えたから…」



千夏がそう呟くと、翼は大きく息を吸って千夏に体を向けた。
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