何度でも恋に落ちる
その日、講義が終わった千夏は夕食の材料を買うと翼のアパートへと向かった。



バッグから合鍵を取り出し、鍵を開けると部屋に入る。



「翼、何時に帰ってくるかな」



千夏は時計を見ながら呟くと、キッチンに向かい米を洗い始めた。


炊飯器が米が炊けた事を知らせる音を鳴らした時、翼が帰ってきた。




「おかえり、翼。遅かったね」

「ちー、来てたんだ。ちょっと隼人と話し込んでてね」



翼は千夏の頭を撫でると靴を脱いで部屋にあがる。




「隼人さんと何話してたの?」

「内緒だよ。男同士の話し合いだからね」

「えーっ。気になる〜」



千夏は翼にケチっ!!と言い捨てると、ご飯をよそいに向かった。



テーブルに料理が並ぶと2人は手を合わせ、いただきますと呟き夕食を食べ始める。


テレビの音だけが響くリビング。



暫くして夕食を食べ終えた2人がまったりとソファでくつろいでいると、いきなり翼が千夏をソファに押し倒した。




「えっ!?つ…ばさ…?」

「…ちー…俺、もう我慢出来ないよ…」



翼が艶っぽい顔つきで千夏を見つめると、千夏の胸がドクンと音を立てた。



「…翼っ…!!ちょっと待って…」

「待てない。拒まないで…ちー」



翼が千夏の体を触ると、千夏の中の過去に出来た傷がチリチリと痛み出した。
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