物理に恋して

先生と花火

次々とつないだ花火は次々に燃えつき、それが放り込まれたバケツだけが残った。

「終わっちゃった」

「…な。」

「線香花火やりたかったな」

「そーいや、入ってねーの?」

「うん、なかった」

「残念。あれ、得意なのに」

「わかる。先生、得意そうだもん。勝負したかった!」

「また、今度な」

また、があるのかな、なんてどこかで思いながら、うなずくと、ふいに遠くで打ち上げ花火の音が聞こえた。

「わ、花火なってる!」

立ち上がり、10階のベランダから辺りを見渡す。

「どこだろ」

ふいに先生に頭を支えられて、わたしはそのまま向きが変わる。

「こっち」

触れられる手にドキドキしながら、先生が示す方を見ると、花火が上がるのが見えた。
ベランダから見えるぎりぎりのところ。
家やいつもの河川敷から見えるのとは違って、少し小さいけれど、くっきりと見える。
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