風と今を抱きしめて……
熱
　大輔は、気付くとに真矢の姿を探す事が多くなっていた。

　その様子をユウがおもしろそうに見ている事には気付かなかった。

　大輔が、ランチルームへ入るとユウと奈緒美が食事をしていた。


　大輔は隣のテーブルで、コンビニで買った弁当を広げた。


「今日さあ、真矢の家に泊まる約束したてんだけど、ドタキャンしようかな？と思ってさ」

　ユウが奈緒美に話している声が耳に入ってきた。


「なんで？」

　奈緒美が聞く。


「この間、可愛い大学生と合コンで会ってさあ、今夜夕食に誘われちゃって。気になるんだよねぇ」

　ユウが考え事をするように上を向いた。


「ドタキャンなんて真矢が楽しみにしているのに可哀そうじゃあないの？」

　奈緒美がユウを責めるように言った。


「大丈夫よ。適当に急用でも出来たって言えば、結構理解あるんだから、あ・の・こ」

　ユウは余裕な表情で言った。


「真矢の事どう思っているの？」

奈緒美の言葉に、大輔は息をのんだ。


「そうね？　いい子よ」

　ユウは言った後、大輔の方を見たが気付かなかった。


　明らかに大輔の表情が硬く食事の進んでいない姿に、ユウは何かを確信したように奈緒美と目を合わせた。
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