俺様御曹司に飼われました
「嫉妬なんてすることないじゃん……」


「なんで?」


「だって……」



これ以上言ってしまうと泣いてしまいそうで。
悪魔から目をそらす。



「ちゃんと言ってくれねぇとわかんねぇよ」


「……っ」


「お前はすぐに溜め込む。そんでまた出ていかれたんじゃたまったもんじゃねぇから。言えよ……」



そのままあたしを抱きしめる。



「暁さん……」


「うん」


「あたしは暁さんに飼われたんですよね……」


「そうだね」



ちゃんとした言葉がないと不安だ。
飼ったとか飼われたとかそんなのじゃなくて。
この関係をハッキリさせたいと思うのはいけないことだろうか。



「いい加減ハッキリさせたい」


「何を?」


「飼い主じゃいやだ……」


「ん?どういう意味?」



あたしの言葉の意味が理解できないみたいで、あたしの顔をのぞき込む。


あたしは目を瞑って、決意を固める。
あたしもちゃんとまた自分の気持ちを告げよう。

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