俺様御曹司に飼われました
『あいつ、ずっとその箱をあけたがってたんだって』


「そうなんですか……」


『なんかあったんだろうかね。あいつの中で……。で、俺に電話してきた』


「……先輩に」



俺との写真を見てどう思ったんだろうか。
連絡取れない状況だったから仕方ないけど、本当なら俺をたよってほしかった。



『俺も帰省してたから、あいつの家に呼ばれたんだ』


「……はい」



心海の実家にふたりきり。
その状況に嫉妬なんかしている場合じゃないのにそんな気持ちが出てきてしまう。



『そこで、どういうことかわからないと言いながらまた過呼吸起こしたんだよ』


「また……」



傷ついて、傷つきまくった心海が唯一自分を守れた方法。
それが記憶を失うことだったと今ならわかる。



『意識が戻って初めて言った言葉は〝付き合ってたこと忘れててごめん〟だった』


「……そっか」



初めてでてきた言葉は俺のことじゃなかった。
そりゃ、目の前にいるのが恩田先輩だし仕方ないことだけど。

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