俺様御曹司に飼われました
「おい、なんでだよ!」


「好きな人がいるから!もう暁さんの言葉はいらない!」



おもってもいないのに、口から勝手に出る言葉たち。



「待てよ!俺にだって言わせろよ!」



あたしの腕を掴む。



「いらない!暁さんの言葉なんて聞きたくない!」



そんな嘘の言葉を並べられたって辛いだけだ。
現実問題、無理なんだ。

あたしと悪魔の想いが交差することはない。



「俺は言いたい。言って、お前を捕まえたい」


「言うのは自由ですけど、捕まえるのは無理」



もう、逃げないと。
聞いてしまったらつぶれてしまう。

嘘だと分かっているのに、期待してしまう。
期待して傷つくのはもうゴメンだ。



「……心海、俺は「ストップ」



悪魔の言葉を遮って、彼の口にあたしの手をあてる。



「ごめんなさい。もう行かないと」


「はぁ、なんでだよ。なんで聞いてくれねぇんだよ」



思い通りにならなくて、イライラしてる悪魔。



「昨日、一度帰ったのが間違いだった。ワガママでゴメンなさい。サヨナラ」



一方的に早口で話して、そのまま走って駐車場を去る。

< 63 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop