あの日の記憶が笑う

普通の学校生活

キーンコーンカーンコーン




「セェェェェェェフ!!」




校門にギリギリで滑り込んだ私は、安心しきっていた。




そして、




ガラガラガラガラ




教室のドアを開けると、何故か私はまたもや注目の的だ。




「天宮、初日から遅刻なんてたるんでるぞ。早く席に座れ」




容赦なくハゲた先生が言う。




何ですって??私が遅刻なんてあり得ませんわ!だってチャイムが鳴り終わる前には学校の中にいましたもの!ギリギリ間に合っていましたもの!!




それでも私は心の叫びを抑え込む。




「すみません」




大人しく席に座った私を見て満足したのか、




「よし!じゃあ出席をとるぞ!」




元気の良いハゲだ。




「ねぇねぇ、君さ、昨日蔵井に手振ろうとしてたよね?知り合い?」




「いえ、私はこの学校に知り合いなんていません」




急に何だこの男!びっくりさせやがって!話しかけるならそれなりに前置きってもんがあるだろ!ちょっとくらい話しかけますオーラ出しとけよ!それとも何か!お前はたらしか!?たらし男なのか!?100%私の嫌いなタイプだ!絶対関わるまい!




「えーでも目合ってたよね。思いっきり目そらされてたよね」




「遅れて入ってきた生徒がいれば、大抵の人はその人の事を見ると思いますけど」




「ま、それもそうだなぁ。俺も昨日めっちゃ綺麗な子が来たと思ってテンション上がっちゃったからね」




「……………」




「あっ、そうそう!俺の名前は神条 克喜(かみじょう かつき)!よろぴく~」




ほんとに何だこいつ!よろぴくじゃねぇよ!よろぴくされねぇよ!イカれすぎだろ!絶対イカの食い過ぎだ!イカに謝れ!




「私、この学校で誰かと馴れ合うつもりは無いんです。だから用がある時以外は話し掛けないで下さい」




「つれない事言うなよ~俺ら友達だろ?」




「違います」




「なぁなぁ、俺蔵井の幼馴染みなんだよ。あいつイケメンでモテるからさ、特別に紹介してやるよ!だから俺と友達になってくれ!天宮みたいな綺麗な子と友達になれたら絶対皆羨ましがるし!な?頼むよ!」




「すみませんがお断りさせて頂きます」




「ちぇ~。でも俺、諦めねぇぞ!絶対天宮に友達宣言させてやる!」




こいつはおったまげた。全然諦めないじゃないか。めんどくさい奴が隣にいたもんだ。さっさとイカになって海に帰ってくれないかな。じゃないと私はいつまでもこのイカの相手をしなければいけなくなる!そんなの絶対に嫌だぁぁぁぁ!死ぬ!ストレス死する!




「勉強以外の話は時間の無駄ですからお一人でどうぞ」




「え!?冷たい事言わないでよ!オイラ寂しい!」




よし、決めた。このイカは無視だ。関わってたまるもんか。私の人生設計を台無しにする為にやって来た、イカタン星人だ!邪魔されてなるものか!




私はその後、話し掛けてくるイカタン星人をひたすら無視し続けた。
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