ゆめふわ
エピソード1






誰にだって、消し去りたい過去がある。





「ずれてるよ、ゆきちゃん!!」
「すいませんっ」
「はい、もう一回!目線ちゃんと合わせる!」


ダンス部の練習は、毎日キツい。
休み年数回だけ。

なんで、こんな部活はいったんだっけ。

「ぷはっー!!」

部活終わり、立ち寄った学校前のローソンで、ジュースを買って飲む。

「もう、まじでやめたい」
「それな。美月はいつやめんの?」
「文化祭終わったらやめるわ」

友だちの美月は、隣のクラス。
美月と麗菜は仲良しで、その2人の中にいさせてもらってる。

「美月ー、雪ちゃーん」
「麗菜ー、どしたー?」
「バスがあと3分だわwww」
「え?!」
「やば!」
「はよ走れ!」

「ごめんねー雪ちゃん!」
「ばいばい!!」

高校は、家から遠く離れたところを選んだ。
なるべく、誰もあたしのことを知らない場所へ行きたかった。
1から全てをやりなおしたかった。

まだ契約してないスマホを取り出して、通知をチェックする。

「うわぁぁ」

突然、LINE電話が鳴る。

「もしもし?」
「雪ちゃん今どこ?!」
「学校前のローソン。」

突然かかってきた電話は、ママからだった。

「そこから空港まで来て!!」
「え?」

「お祖母様が、お亡くなりになったって。何度も電話しとるのに!!LINEちゃんと見てや!!」

「え…?と、取れるわけないじゃない…契約してないのに…」

おばあちゃんが、亡くなった…?

突然の言葉に、ただ逃げるように別に言葉を探す。

「とりあえず、空港まで来て!!!」
「うん」

1人で空港まで向かった。
何度も人に訪ねて、場所を探して。
空港につくとキャビンアテンダントに案内されて、なんなく乗れた。

向こうについて、用意されたタクシーに乗って、病院まで向かう。

「ありがとうございました。」

入口に迎えに来たのは、1つ下の弟の柊。

「柊…」
「お姉ちゃん、おばあちゃんからの伝言。笑って欲しいって。」
「むちゃ言うな…」

病室に案内されるまでにいろんなことを聞いた。

あたしが出かけてすぐに連絡が来て、みんなすぐに飛行機に乗ったこと。
おばあちゃんの体は、前々から悪かったこと。

全部、知らなかった。



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