王太子様の策略に、まんまと嵌められまして~一夜の過ち、一生の縁~
「扉を開けてくれ」

王太子様は部屋の横に立つ、鎧を纏った騎士に声を掛けた。

その命令に騎士は軽く会釈をすると、言われた通りに扉を開ける。

王太子様は私を連れたまま、部屋へと入った。
そしてそのまま私を、とても大きなベッドへと横たわらせた。


天蓋付きの豪華なベッド。
目線の先には、壁に飾られているような、天使と女神の絵が描かれている。

たかが天蓋なのに、ここまで細かく描かれているとは。

とても綺麗な絵ではあるが、なんとなく常に見られているような気がして、気持ちは休まらない。

やはり王族の使うものは、下級の貴族が使うものとは比べものにならないほど、豪華でかつ、どこかずれているのだと思った。


「大丈夫ですか?ビアンカ」


……と、その声で我に返った。


いけない!
現状を受け止めきれなくて、つい自分の世界に閉じこもっていたわ!


そうよ私、王太子様の結婚相手だなんて言われて、それであれよあれよとこの部屋に連れて行かれたんだった!

横たえていた上半身を、勢いよく起こす。

「そ、そんなことよりもヴィルヘルム王太子様!どうして私がけっこ……」

と言いながら王太子様の方を向いた瞬間、ドキリと胸が跳ねて、それから言葉が続かなくなった。


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