好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。
「舞、これ教えて」
「ん?」
席に着けば、隣の席の大志がノートを見せて来た。
この前席替えをしたにも関わらず、私達の距離は前後から隣同士になっただけ。
クラスもずっと一緒な上にこの偶然は、最早運命じゃないかと柄にもないことさえ思えてきている。
「これ基礎の部分じゃん」
「いや、数学に基礎も何もねーだろ」
「あるわ」
即答で鋭いツッコミを返し、私は再びノートに目を向ける。
ノートに書かれてるのは、関数の問題だった。
私の得意な分野。