イジワル男子の甘い声
「なんの話だ」
「へ?」
柏場の返答に思わず間抜けな声がでる。
顔を上げると、相変わらず眉間にシワが寄ってる整った顔がこちらを見下ろしていた。
「柏場くんが、歌わないって言い出したって…ノアから聞いた」
「はぁ?お前、あいつと会ったのか?」
「う、うん」
そういえばそうだった。
柏場はノアと私が近づくのがすごく嫌だったっけ。
「ったく…あの野郎」
柏場はため息混じりにそう吐くと、ガシガシと後頭部を雑にかいた。
「…まだ戸惑ってる。だけど…なんていうか…sakuの、つまり柏場くんの歌声が私の励みになってたのは事実で…だからその…やめないでほしい、です」
こんな恥ずかしいこと、まさかあの柏場に言うなんて思わなかった。だけど、これが今思う私の素直な答えだ。