イジワル男子の甘い声
「それともその場所、気に入ったのかよ」
「え、だって…」
「閉まる」
「はっ!」
私の体は、柏場の声に反射的に動いていて。
気付けば、目の前に透明な壁は無くなっていて、代わりに、眉毛を歪めたイケメンの姿があった。
「あ、ありがとう柏場くん!」
「最初で最後だから」
「うん!」
柏場は大きくため息をつくと、エレベーターではなく、隣の階段へと向かった。
「エレベーター使わないの?」
「少しでもお前といたくない」
「っ、」
捨てゼリフのようにそう言ってから階段へと消えてしまった。
「いっー!やっぱりやな奴かよ!柏場優作!」
ちょっとでも、いいとこあんじゃんって思った自分を殴りたい。
でもまぁ…柏場の親切のおかげで、私はこうして無事に家に帰れるわけだもんね。
あの悪態には我慢してやろう。
エレベーターの中で、一人うんうんと呟きながら、【3】と表示されたボタンを押した。