イジワル男子の甘い声
*
「なに。お前日本語通じないの」
エントランスを出た瞬間、
ズボンに手を入れたまま歩いていた柏場が、後ろをついて歩く私に、振り返らないままそう言った。
「だって…暇だもん」
「チッ」
「ちょ、それやめてくれる?!ただでさえ顔怖いんだから舌打ちとか!」
「お前がそうさせるんだろうが」
柏場は半分だけ振り返ると、私に横顔を見せてそういう。
いや、そうだけどもっ!
一応、女子が困ってるわけじゃん。
男の人はもう少し優しくするもんじゃないの?へ?
少女漫画の読みすぎなのか。
「ついてくだけだから!お願いっ!」
また両手を前の方で合わせる私を、柏場は無視して再び歩き出した。
お?
これは、ついて行ってもいいってことだよね?