イジワル男子の甘い声



『だから出て行け』
柏場はそうは言わなかった。


ソファから立ち上がった柏場の背中を見つめたままぼうっとする。


流石に、お風呂を借りることまではできないから(もちろん着替えなんて持っていないし)、


あしたの朝、パパが帰ってきたらその時入ろう。







「これ使え」



「えっ、」



お皿を片付けていると、とっくにお風呂から出てきた柏場が、タオルケットと薄い枕を持ってリビングに立っていた。


「いいの?」


「雑巾みたいなもんだし」


「……っ、」


そこは普通に、大丈夫だ、でよくないか。
雑巾みたいなものを、人間にこれで寝ろというかね。


まぁ、いいですけど。
使わせていただきますけど。


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