イジワル男子の甘い声
『だから出て行け』
柏場はそうは言わなかった。
ソファから立ち上がった柏場の背中を見つめたままぼうっとする。
流石に、お風呂を借りることまではできないから(もちろん着替えなんて持っていないし)、
あしたの朝、パパが帰ってきたらその時入ろう。
*
「これ使え」
「えっ、」
お皿を片付けていると、とっくにお風呂から出てきた柏場が、タオルケットと薄い枕を持ってリビングに立っていた。
「いいの?」
「雑巾みたいなもんだし」
「……っ、」
そこは普通に、大丈夫だ、でよくないか。
雑巾みたいなものを、人間にこれで寝ろというかね。
まぁ、いいですけど。
使わせていただきますけど。