イジワル男子の甘い声


どんな曲も自分のものにしてしまう。


それがsakuだ。


歌詞がスッと心に入ってきて。


さっきまでのパパへのモヤモヤが、少しずつ溶けていく。


これだ。


この感覚。


これがあるから、 sakuが聞けなくなるなんて私の人生にあってはないけない。


あの引き出しに詰め込まれた宝物だって。
絶対になくしたくない。



4分近い曲を全て聞き終わってから、気付いたら頬を伝っていた涙をゆっくり指で拭う。


彼が歌ってくれることで、頑張ろうって思える。


「すごいなぁ…saku」


また寝る前に聴こう。


すぐにミカに、聴いた感想を簡潔に伝えてから、私は靴を脱いで、ダイニングへと戻った。



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