消極的に一直線。【完】
「じゃ、左足からね。せーの」

 
 寺泉さんの合図で、左足を前に出そうとしたけれど、重くて動かずに、バランスを崩して、佐藤さんの背中に向かって倒れてしまった。

 きゃー、という大西さんの声と同時に全員が倒れていく。


「みんな大丈夫ー?」


「ごめん、私のせいかも」


「みんなのタイミング合ってなかっただけだって」


「どんまいどんまい」


 みんなが立ち上がっていくので、私も遅れないように立ち上がって、制服や手についた砂をササッと払う。

 もう一度、佐藤さんの肩に手を乗せた。


「いくよー。左足ね。せーの」


 寺泉さんが合図をして、左足を前に出した。

 けど、次、右足を出そうとすると、また板が重くて動かなかった。

 さっきと同じように、大西さんの悲鳴と同時にみんなが倒れていく。


「ムカデむずいじゃん」


「やばいねー」


「やだ、擦りむいちゃった」


 佐藤さんの声に、立ち上がろうとしていた前の三人が振り返る。

 見ると、佐藤さんの左膝が痛々しく擦れて血が出ていた。


「やばいじゃん、保健室行こ」


 笹野さんがまじまじと傷口を見ながらそう言うと、「よくそんな傷見れるわね」と傷から目をそらしながら大西さんが佐藤さんの手を引っ張った。


「全然進めてないのに練習抜けられないよ」


 手を引っ張られ立ち上がりながら佐藤さんが首を横に振る。だけど、やっぱり傷口が痛むのか、ぐっと顔が歪んでいる。
 

 佐藤さんの後ろにいたのは私。
 私が佐藤さんに倒れ掛かってしまったから怪我をさせてしまったのかもしれない。

 どうしよう。謝らないと。
 私のせいで、こんな痛そうな傷。
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