赤髪の彼
「好きじゃないじゃん!あたしのことなんか!」



叫ぶとあたしの目から涙が落ちてくる。



「なんでいつも泣いてんだよ!なんでいつもビクビクしてんだよ!」


「ご、ごめんなさい…」



怖いんだもん。
振られるのが。
そして、すきだけど、やっぱり西島くんが怒鳴ると怖くてビクビクしてしまう。



「めんどくせー」


「っ」



〝めんどくせー〟
そんなふうに思わせてしまっていることに声が出せなくなる。
あたしのこんな性格のせいで煩わしい思いをさせてしまってる。


だめだ。
このままここにいたら、あたし。
自分でいられなくなる。


何も言わずに立ち上がって、西島くんに背を向けた。



「あ、おい!どこいくんだよ」



その声も聞きたくなくて。
あたしは返事もせずに走った。


好きになってしまったら最後。
この前までの彼を知らなかったあたしには戻れない。



「戻りたい」


なにも知らなかった頃に。

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