赤髪の彼
「ねぇ、あの人すごい怖そう」


「一緒にいる人彼女かなぁ?」


「わー。笛田ってあんな怖そうな彼氏いんだな」



校門から出てくる人たちが口々にそう言っていく。

堂々としたらいいのにあたしも。
逃げたくなる。
こんな弱い自分だから、西島くんを傷つけてしまうんだ。



「だからきたくなんかったのに」



西島くんが自分の髪の毛をグシャって掻き上げる。



「え?」


「行くぞ」



彼はあたしの手を取って走り出した。


もう手を握られることなんてないと思ってた。
もう彼とこうして走るなんてないと思ってた。
もう全てが終わってまって、もう赤の他人になってしまうんだと思ってた。



「ど、こまで行くの!」



普段走り慣れてないあたしには結構限界なほど走った。



「限界かよ」


「げ、限界だよ!」



あたしが彼に張り合うぐらいの大声で言うと急に笑い始める。



「ほんと、飽きない。お前といると」



そう言いながらもなお、笑い続ける。

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