赤髪の彼
「あゆみ、置いてくぞ!」


「待ってよー!海くん!」



バタバタと走るあたしたち。



「なんでこんな日に寝坊すんだよ!」


「海くんもでしょう!」


「うるせー!」



いつしか隣にいるのが当たり前になって。
ぎゃあぎゃあと毎日楽しく言い合いをしてる。



「あいつらに先越されたの悔しいなー!」



なんて言いながら走る。



「仕方ないじゃん、赤ちゃん出来ちゃったんだから」



あたしたちはまだ大学生。
でも、三月で卒業するんだ。

海くんと付き合ってもう6年。
卒業して、就職して落ち着いたらかなって思ってる。



「ここで、俺ら付き合い出したんだよな」



あの日あたしが立っていたベンチに座る。



「うん。なんでこの人、人の話きかないの!!って思ってた」


「だろうな」



ふっと笑う海くん。



「ここで言いたかった」



海くんがポケットから一つの箱を出してパコって開ける。

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