酒は飲んでも呑まれるなかれ
そんな風に呆然としていると。

そろそろお開きの時間ですと今回の幹事役の後輩が声を掛けている。



「伊月先輩大丈夫ですか?帰れます?」


「らいじょーぶよ、口はまはらないけど、頭はしっかりしてるモン!」


そう返すと



「大丈夫だ、若手は二次会だろう?俺が送るから心配ない。」


「あ、木島課長が送ってくれるんですね!それなら安心です。先輩、課長が送ってくれますからね!気をつけて帰ってくださいよ!」



「あいあい!っと」


そう言いながらカバンとスプリングコートを持ち座敷から框に腰掛けパンプスを履く。



ふらっとしつつも立ち上がり歩き出す。


頭はしっかりしていると思うが身体はすっかり酔っていてフラフラしている。


そろそろ私も歳よね。


アラサーに入り周りは結婚して今は育休ラッシュだしな。


ま、私はそんな予定微塵も無くなりましたが!!


お店を出ててことこと駅に向かって歩き出して数歩で腕を掴まれる。



「こら、勝手に帰るんじゃない。千鳥足の酔っ払いのくせに。」



振り返れば苦虫を噛み潰したような表情のイケメンが居る。


ほんと、他の課の女子社員この鬼がどんだけ鋼のサイボーグと言われるだけの鬼上司か分かってないからキャーキャー言うが。


実際問題、仕事の鬼の課長なんて範疇に入れられない。



騒いでる声を聞く度に、解せぬという表情になる私だ。



イケメンならなんでも許されるのだろうか?


答えは否だと信じたいがイケメンはそれが最大の武器になるのだから末恐ろしい・・・
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