星空を見上げて
翌日支社長室で仕事をしているとドアがノックされ浅野が入ってきた
「支社長花井梓様がロビーにお見えになっているそうです」
「こっちに通してくれ」
「承知しました」
しばらくすると花井梓が部屋に入ってきた
彼女は息を荒くして話し始めた
「提携の件取りやめるってどういうことですか!
この間まではそんなこと言ってなかったのにどうして?」
俺はパソコンを操作しながら彼女の言葉に耳をかたむけていた
「圭介さん!」
俺は手を止めてゆっくり彼女を見た
「アナタに下の名前で呼ばれるのは不愉快だ」
「っつ」彼女が後ずさりした
「どうして取りやめにしたか?それはアナタが1番よく分っているのでは?」
「彼女が喋ったの?」ワナワナとふるえていた
「場所が悪かったな、コンシェルジュが見ていて連絡をくれた
やるならもうちょっと上手くやるべきだった
社長もお気の毒に娘のせいでまとまりかけた話が白紙になるのだから」
彼女は何も言えず唇をかみしめていた
「アナタはもういい大人なのにやっていいことと悪いことの区別もつかないのか
人を傷つけて平気でいられる神経が信じられない
たしかに彼女には両親はいない、だがその現実としっかり向き合って生きている
両親が健在でも娘がこれではさぞがっかりだろう」
「どうすればいいの?」とうろたえだした彼女に
「自分で考えたらどうだ
それくらい出来なきゃ花井ホテルの跡継ぎは務まらない
話はここまでだお帰り願おう」