星空を見上げて

日下部涼太


アメリカ出発まであと少しとなった

仕事の引き継ぎや取引先のあいさつ回りもほぼ終わった
引っ越しの荷造りも終わりあとは葵の荷物を送るだけだ

ダンボールに入れた葵の荷物はわずか2箱で収まった
そういえば葵はあまりモノをもたなかったっけ

ふと荷物の中にアルバムを見つけた 
中を開くと俺と一緒に映っている写真がたくさん出てきた
最後の写真は遊園地に行った時のものだった
数カ月前のことなのに随分昔に感じる
ほんとならここに北海道旅行の写真も貼られる予定だったのにな

俺と葵のアルバムはここで終わりだ
これからは新城さんと作っていくのだろう
俺にも新しいアルバムを一緒に作ってくれる人はこの先現れるのだろうか

・・・・・

会社の休憩室でコーヒーを飲んでいると隆司がこっちに歩いてきた

「どうした?」

「今日分ってるよな」

「ああ俺の送別会だろ?」

「お前が主役なんだからな欠席するなよ」

「最後ぐらいしっかり出るさ」


「しかしよく決断したな」

「環境を変えるのもひとつの手だって言ったのは隆司だろ」

「たしかに言ったさ、でもあの時と今では微妙に状況が違うからな」

「葵とのことを言ってるんだったら気にするな
そういう隆司はどうなんだ?」

「オレ?」

「そうだよ人の心配ばかりしてて」

「うーんこれといった子には中々出会えないよ」

「あまり遊びすぎるといざ本命に出会ったとき逃げられるぞ」

「肝に銘じておくよ」


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