星空を見上げて

花井梓


ウチの会社は代々続く老舗の花井ホテル
父はそのホテルの5代目社長、私はいわゆる社長令嬢だ

父は後継ぎを私か姉のどちらかで考えているけど私は継ぎたくなかった
家のことをほったらかして仕事のことしか考えていない父のようにはなりたくなかった

どこに行っても花井ホテルの名前があとを付いてまわりイヤでたまらなかった
自分が何をしたいのか目標が見つからずただ大学に通うのみの毎日に
段々自分を見失いそうで不安だった

そんなある日ウチのホテルのロビーで1人の男性を見かけた
女性はもちろん男性も振り向くほどの美貌の持ち主だった
今まで会ったこともなかったその人に私は一瞬で恋におちた

気になり調べてみるとあの新城建設の御曹司で新城圭介さんと分った
父に聞くとウチのホテルと新城建設で業務提携を結ぼうとしているらしく
そのためにウチに来ていたことが分った

しかしその時には既に婚約していて結婚も間近と知った
あんな素敵な人の相手はどんな人なんだろうと
最初はほんの少しの興味本位で調べたにすぎなかった

でも相手の女性を知り驚いた
婚約者の女性の両親は普通のサラリーマンで
家はそれほど裕福でもなかった
その両親は既に交通事故にあいこの世にはいないらしい
その後は伯父の元で暮らしていたことが分った
そんな人が御曹司である彼とどうやって知り合ったのか


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