年下彼氏と甘い恋






午後からの仕事にも身が入らなかった。

陽太のことばかりを考えてしまうのだ。

付き合うって、もっと甘いものかと思っていた。

好きで好きで、視線が合っただけで顔が熱くなって、ドキドキして。

手が触れると飛び上がりそうで、心臓止まりそうで。

いつ会えるのかな、と甘い期待を抱いて、携帯を見るだけでにやついてしまって。

……そんなこと、全くない。






「26年一緒に過ごしてきたのに、今さら付き合うだなんて」



思わず呟いてしまった私に、



「のろけ?」



楽しそうに先輩の中島さんが言う。

のろけなんてものではない。




「陽太と付き合っている実感もないんです」




ぽつりと吐き出すと、中島さんは笑っていた。



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