Miss*You









「えええ!
また予定潰れたの?」


「……う、うん」


「いやぁ、あたしなら絶対怒りまくるよ!
よく我慢するよねー、遥奈は」





だって……



だってそれが……


私の思い描く完璧な彼女だもん。



親友で良き理解者でもある繭に内心そんな言葉を洩らす。



お昼休みにお弁当を机に広げて、週末に琉惟くんとの予定を聞かれた私は潰れたとだけ返答。



琉惟くんに呆れられたくない。


我が儘な子供だって思われたくない。


少しでも大人っぽく見られたい。




「あのねー。
我慢することばっかりも良くないんだよ?」


「……分かってるけど……」




うん、それももちろん分かってる。



だって私今すごく“都合の良い女”だし……。


仕方無いとはいえ琉惟くんの予定に全て合わせる。


向こうの会える時に会えるのは限られた時間だけ。


思い描いているようにはなかなかいかないもんだ……。




「……でもさぁ……。
やっぱり我が儘言って琉惟くんを困らせたくないんだよー……」




琉惟くんも意地悪で言ってるんじゃないし。


そう付け足した私に繭はまだ何か言いたそうだったけど。

これ以上口を挟むのも筋違いだと思ったのか話題を変えた。




「じゃあ今日はパーっと遊びに行きますかぁ!」


「えっ?」


「この近くにね新しくケーキバイキングのお店出来たんだって!
どうどう?」


「そうだったの?
行きたい行きたいっ!」





元気よく食い付いた私を見て繭は嬉そうに笑ってくれて。



琉惟くんとのことで心折れそうになった時。


いつもいつも繭が支えてくれる。


私もいつか……繭のために。


また誰かのためにでも何か出来る人になりたいと強く願うのだった……


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