コガレル ~恋する遺伝子~
シラフじゃ辛すぎる。
車の運転さえなければ、今すぐ俺も飲みたい気分だ。
「彼女は手切れ金を受け取ると、俺の前から姿を消した。
その後のことはよく知らない。
聞く必要はないと思ったから」
「最低だな…」
弥生の母親がじゃなくて、親父がだ。
手切れ金を渡すってのは、縁を切るってことなんだろう。
「白岩の息子さんは、迎えに来たんだって?」
親父はグラスを空にして、また手酌した。
「弥生君は謝ってたよ、お前が出て行ったのは自分のせいだって。
お前を好きになってしまった、って」
は、親父に言ってどうすんだ…
「馬鹿だね、あいつ。
で、何て答えたの?
お前は俺の娘だって言ったの?
お前は圭と腹違いの兄妹だって?」
「馬鹿は、お前だろ」