コガレル ~恋する遺伝子~
リビングへ顔を出せば、奥のダイニングにいたのは葉山さんと親父だった。
並んでスイカを手にして何か語らってる。
『語らってる』を擬音に変換するとすれば、
『キャイキャイしてる』がピッタリだ。
俺に気づくと
「お帰りなさい」って、葉山さん。
ハイハイ、ただいま。
「圭さんもスイカ食べませんか?」
お誘いはありがたいが、遠慮した。
アリ、に見えたから。
ナイ、だろ? と思ってた二人が今、アリに思えた。
准が高校を卒業したら俺はこの家から出て行こうってのは、こんなことになる前から決めてた。
親父は母親が死んでからずっと一人だった訳だし、親父が見つけた人なんだから適当にやったらいい。
思春期でもあるまいし、祝福してやれば済むことだ。