春になったら君に会いたい

俺は昔から変わった体質だった。

一般的に冬と言われる、十二月から二月までの間、俺はずっと眠り続ける。

それが俺の体質。



十二月一日。必ず眠りにつく。

三月一日。必ず目が覚める。


それが毎年繰り返される。



母さん曰く、そうなったのは五歳の時らしい。




どんな医者に見てもらっても原因はわからなかった。
俺の体に特に異常はないらしい。冬に眠り続けることを除けばということにはなるが。



俺のこの体質を研究している人もいるようだが、未だに原因や治療法は解明されていない。

そういった研究者から研究の手伝いをするように頼まれたこともある。だが、両親の意向で拒否した。


俺は治る見込みのないこの体質を、一応は受け入れているし、そのせいで毎年病院にお世話になることも仕方ないと思っている。

三ヶ月間眠り続けるのだから、入院せざるを得ないということは明らかだし、その間に何かが起こる可能性だってある。それだけ、俺の体には未知が含まれているということだ。


起きた後はしばらくリハビリ期間だ。
三ヶ月間まったく体を動かさないと、筋力は一気に落ちるらしい。


リハビリを済ませ、退院するのが三月中旬だ。

眠る前は秋だったのが、気がつけばもう春になっている。




それがいつもの俺の"冬"だ。

いや、普通の人にはあるであろう"冬"という俺の失ったものだ。
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