HEROに花束を(完)

言ってることはめちゃくちゃだし、すごくダサいし、やっぱり変な人だけど、気付けがほろっと涙が頬を伝っていた。


影になっていて良かった。もうこれ以上悠に泣き顔は見られたくなかった。



悠は大きく息を吸うと、さりげなく、だけどぎゅっと強くわたしの手を握った、



「だから、俺は絶対に穂花を置いていかない。」


振り返った悠の瞳は、いつになく真剣だった。




ーザァー、ザァー






波が打ち寄せては引く。






崖にあたっては砕け、あたっては水しぶきをあげる。
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