鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)


目的地の美味しいお店とやらに到着して、ようやく笑いが収まった。

お店というか、この外観って…。

「孝太郎さん、ここって結婚式場ですか?」

「こっちは結婚式場で隣にレストランが併設されてる」

いつの間にかジャケットを着ている孝太郎さんに手を繋がれて、一歩一歩と中に入っていく。

神聖な場所だからか、自然と背筋がピンと伸びる。

ちょうど結婚式が行われているらしく、式場から賑やかな声が聞こえてくる。

「先月知り合いの結婚式がここであって、その時食べた料理がうまかったから、菜緒と来たいと思ってな」

「ありがとうございます」

孝太郎さんのその気持ちがなにより嬉しい。

しかも、わざわざ予約を入れてくれていたらしく、庭が一望出来る個室に通された。

フルコースのランチはどれも美味しくて、すっかりお腹は満たされた。

レストランを出たところで、結婚式場から一際大きな歓声が聞こえた。

ちょうどバルーンリリースが行われたらしく、青空にカラフルなバルーンがたくさん舞い上がっている。

「なんだか幸せをお裾分けしてもらった気分です」

空を見上げていると、至近距離に孝太郎さんの顔が近づいてくる。
< 91 / 176 >

この作品をシェア

pagetop