美魔女オネェに拾われたなら
「なんて呼ばせようかしら?」


考える顔を始めたサチコさんに、


「そもそも、夏美を私達は呼び捨てで呼んでて良いのかしら?」

そう聞くアカリさんも、すでにそう呼び始めていた。


「お二人にそう呼ばれるのは違和感無いので、問題ないです」

そんな私とアカリさんのやり取りの隣で考えてたサチコさんは、さらに口を開いてきた。


「あー、その口調も固いわ!敬語とかじゃなくて良いから普通に話なさい!あと私は夏美にさっちゃんって呼ばれたいわぁ!」


両手を合わせて、そう言い始めたサチコさんに


「あら、ずるいわぁ。それなら私はあっちゃんが良いわねぇ」

アカリさんまで呼び方についてや話し方を言い出したので、妥協できる方から実践することにした。


「いきなり口調は変えられません!!あっちゃんもさっちゃんも行きましょ!ここで立ち止まってたら他の皆さんのお邪魔です!!」



そう言うと二人はすっごく嬉しそうな顔をして私の両脇からぎゅーっと抱きしめてきた。


「可愛い!可愛い!照れてるわね!!」


「ホント、うちの子可愛い!!」



照れくさいけれど、久しぶりな他の人との触れ合いにちょっと照れてしまった。

それにしても、さっちゃんとあっちゃんはこんなお子様な私のどこを気に入ってくれたのか。
イマイチ分からないけれど…。


「さっちゃん、あっちゃん。ほら行きましょ?」


両隣りの二人の腕に腕を絡ませつつ二人の顔を交互に窺う。


「ちょ!アカリ!やばいわー!ウチの子ほんとに可愛いわ!これは、あのお店に行かなきゃだわ!!」


「そうね、サチ!この可愛さは飾り立てがいがあるわよね!もちろんあの店は第一候補よ!!」


オネェ二人が盛り上がってるけど、なんの話か私はついていけてない。


「さ!お買い物行くわよ!夏美!」


そうしてカワイイ系から綺麗系の服屋さんに、色んな靴にバックに可愛いアクセサリーに雑貨まで。


巡るお買い物の旅で気づいたら外は暗くなり、お腹のすくような時間の経過がすぎた頃には、すっかり着せ替え人形とされていた私はげっそり疲れていた。
お金無いって言ったのにオネェ二人はそこそこお仕事で稼いでいらっしゃるようで・・・


娘の買い物超楽しい!!!
というテンションで次々に買われた。


私、暫く服も靴も要らないって位に買われました。


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