腹黒王太子の華麗なる策略
12、三年前の惨劇ークリスside
「やっと終わった」

朝からずっと執務室で各国からの書簡に目を通していた俺は、仕事を終え、嘆息した。

昨日の午後アンと過ごした楽しい時間が、遠い昔の出来事のように思える。

二日間休んでいたせいで、仕事はかなり溜まっていた。

ラルフに丸投げするわけにもいかない。

エッジウェアはインヴァネス以外の国にも侵攻していたようで近隣諸国の王から援軍を求める書状がいくつも届いていた。

「シャメルめ、世界征服でもするつもりか?」

口の端を上げ、シャメル国王をあざ笑う。

世界を手に入れても、それがなんだというのか。

インヴァネスは、父の代に二つの国を攻め落とし、元は七つあった国が今は五つとなった。

だが、領土が拡大すれば、その分人口も増え、問題も増える。

併合した国の周辺では暴動が頻繁に起こっているし、都市部と農村部では経済的格差が広がった。
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