腹黒王太子の華麗なる策略
13、俺の決意ークリスside
「ク……クリス?……これは、夢?」

モコの毛の上にアンを寝かせたら、彼女はうっすら目を開け俺を見た。

気を失っていたし、突然俺の顔を見てまだ現実とは思えないのだろう。

「夢じゃない。本物の俺だ」

優しくアンに声をかけ、彼女の頭を撫でた。

「ここ……どこ?」

アンは息も絶え絶えに俺に確認する。

「オリン山にある洞窟」

俺がゆっくりとそう答えると、アンはハッとした顔になって起き上がろうとした。

「シャ……シャメル国王達は?うっ!」

怪我が痛いのか、アンは顔をしかめる。

「馬鹿、急に起き上がるな。シャメル国王もここを見つけることはない。ゆっくり休め」

アンを注意して、また寝かせた。

矢が刺さったところがかなり痛むのだろう。

彼女は脂汗をかいていた。

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