腹黒王太子の華麗なる策略
痛みで顔を歪めるモコを撫でながら、キッと赤髪の青年を睨みつける。

だが、苦しくてもう立っていられない。

地面にくずおれ、ゼーハーと大きく息をする。

次第に視界が霞みがかっていく。

ここで倒れちゃダメだ。

モコが死んじゃう!

誰か……助けて。誰か……。

「クリ……ス……」

愛おしいあの人の名前を呟いたその刹那、雷鳴が轟いた。

「これは……まさか……あいつの仕業か?」

フィオナが憎らしげに言う声が耳に届く。

次の瞬間、空がピカッと光って雷がフィオナと赤髪の青年の頭上に落ちた。
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