いつか、君の涙は光となる

再会


新宿東口のロータリーに、英単語のサークル名が書かれた看板を持った大学生が溜まっている。新歓、という名のただの飲み会に、着飾った女の子たちが群がり、駅周辺の動線を複雑にさせている。
 大きな大学に入ると、居場所が見つからず孤独になる人、急激に異性友達が増える人のどちらかだと言うが、私は完全に前者の人間になっていた。
東口にあるバイト先に向かうために、アルタ前をどうにかして横切ったが、渡り終えた頃にはどっと疲れが増した。
 キラキラした同年代の集団を目の前にすると、なんだか少し息が詰まる。
吉木と唐突な別れを終えてから、もう四年近くが過ぎていた。二十歳になった私は、高校生の頃より人と会話する能力が確実に下がっている気がする。
 万里は美容師になるため地方の専門学校へ進学し、宗方君は同じ都内の私立大学へ進学した。宗方君とは、いつか都内で飲み会をしようと口約束を交わしていたが、飲まないまま一年が過ぎた。約束なんてそんなものだ。
学生になって、一人暮らしを始められたことだけが、歳を重ねて良かったと思える出来事だ。家賃は親に払って貰い、その他生活費は自力で稼ぐ必要があるため、こうして新宿駅にあるコールセンターに働きに向かっている。高時給のバイトが居酒屋かコールセンターしか出てこなかったので、消去法で決めた。無心でバイト先を目指していると、突然バッと腕を掴まれた。
< 62 / 119 >

この作品をシェア

pagetop