【BL】好きになってよ。



拓海に言われるよりも先に言いたかった。



「しんちゃん...、それ、本当?」


「嘘でたまるか」


「本気にしていい?」


「...たりめーだろ」




ガバッ




拓海が俺に抱きついてきた。



「ちょ、拓海何やってんだよ!」


「しんちゃん、しんちゃん、しんちゃん!!」



俺に抱きついたまま名前を呼ぶ拓海。


肩に押し付けられた顔は、少し湿っている気がした。



「...なんだよ」


「へへ、大好き」



顔を上げてヘラヘラ笑う拓海の目の周りは少し赤くなっていて、そんな姿に可愛いと思ってしまう自分がいた。



嬉しそうに俺の名前を呼ぶ姿が可愛い。



必死に愛情表現をしている姿が可愛い。



何より、俺を想ってくれることが愛しい。



ついこの間までこんなこと思いもしなかったのに。



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