【BL】好きになってよ。



今すぐこいつに殴りかかっても、俺は構わない。


でも、拓海が頭をよぎる。


自分の友達が喧嘩していたらどう思うだろうか...。


最悪、泣く。


拓海は高校に入ってから泣かなくなった。というより、泣いている姿を俺に見せなくなった。



拓海の涙は昔から苦手だ。


見る度、特に自分が原因で泣かせた時、心臓が握りつぶされるんじゃないかと思うくらいに痛くなる。



「そうそう、本題っていうか、改めてね?


...この前は傷つけたらって言ったけどさ、やっぱあれ訂正。


お前がウジウジしている間に、拓海のことはかっさらうからな。


いつまでも自分のそばにいてくれるなんて、そんな馬鹿みたいな油断はしてくれるなよ?」



俺を指さしてこう宣言する。



「お前に言われるまでもねぇよ」



俺はそう言って教室に戻った。




一つ、気づいたことというより、思い出したことがある。



恵は、最近になって特に嫌になったがそれは最近からだと思っていた。


──俺がこいつ嫌いなのは、とっくの昔からだった。



< 37 / 150 >

この作品をシェア

pagetop