【BL】好きになってよ。


***


「視線って感じるものなの?」



五時間目。お昼のあとのこの時間。


さっきまでと同じように机をくっつけて授業を受ける。


少し気になって聞いてみた。...沈黙が辛いっていうのもあったんだけど。



「視線って...周りとかからの?」



確認するみたいに聞き返してくる大野さん。


僕は黙って頷いた。



少し考える素振りをしながら大野さんは口を開いた。



「感じるよ。もうほとんど慣れちゃったけど」


「慣れるの?」



思わず聞き返してしまう。


その視線に慣れるのは、大野さんの心の強さなのかもしれないし、必然的にそうなったのかもしれないから。



「うーん。
慣れるって言うか、気にしなくなるって感じかな

変に気にする事は無くなったよ。」


「...すごいね」



自然と口から出てしまった言葉。


あれ、もしかしたら失礼だったかも...!?



「ご、ごめん...失礼だったね...」



僕がそう言うと、大野さんはふわりと笑って



「どうして謝るの?

ふふ、褒めてくれてありがとう」



と、言ってくれた。


たったそれだけの会話だけど、大野さんと僕の間に感じてた壁は無くなった気がする。


そこからの授業は、とても居心地よく受けられた。


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